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鉛筆についてデザイン考察 をしてみる

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鉛筆についてデザイン的考察をしてみる

小学生だった頃、筆記用具といえば鉛筆しかなかった。

毎晩鉛筆を削り筆箱にきれいに並べて次の日の授業に備えた。

上級生になるころだろうか、シャープペンシルが世に出て、その辺から鉛筆の存在は時代とともに衰退していく。ところがその後美術大学を受験するのに鉛筆デッサンという受験科目があり、私はまた、ある期間鉛筆と付き合う時期があった。

美大の受験のための鉛筆デッサン

今、デザイナーとして、この受験用の鉛筆デッサンを見ると異様な絵に見える。受験のためのデッサンだからだ。主に描くものは「生物画」と「石膏像」どちらも画用紙に線を重ねてガリガリと描くので見た目はあまり美しくはありません。

小学校の時に使っていたのはトンボ鉛筆、上級生になるとユニというプラスティックのケースに入った一見高級そうな鉛筆を親に買ってもらっていた。

ところがデッサン用の鉛筆はステッドラーと呼ばれるドイツのお尻が黒い青色の高級そうな鉛筆をみんなが使っていたので、自分も影響を受け使っていました。

恥ずかしながらステッドラーを使わないと受験に落ちるような錯覚をしていました。もちろん三菱のユニ鉛筆でもよいのですが、なぜかデッサンではグレードが上のハイユニというのも使うのです。

今想えば、トンボ鉛筆でもよいのですが、鉛筆メーカーの説明を読むと

芯の部分の品質が良いので描きごごちが滑らかで、綺麗な黒い線を引くことができる。

そうである。でも、

弘法筆を選ばず

ってのもあるからな〜

鉛筆はなぜ紙に描けるか??

芯は黒鉛と粘土を水で混ぜ合わせ圧縮させてできます。この芯が紙と擦れて付着して線ができます。基本的には紙の表面に付着しているだけなので、消しゴムを使えば消えてしまいます。

これでは長い間保存しなければならない、契約書やお役所の資料などは筆跡がぼやけたりかすれてしまうので、鉛筆は不向きなんですね。

色鉛筆
ちなみに色鉛筆は、黒鉛や粘土の代わりに顔料・ロウ・のりなどを混ぜ合わせながら芯を作っているのです。黒鉛筆と比べると芯が脆いのを思いだしますが、色を出すために書き味が落ちるのは仕方がないのでしょう! 良くボロボロと折れていました。

ところで鉛筆の芯は体に悪いということを信じている方がいたら、それは過ちです。当時科学的な知識が知れ渡っていないために、鉛が含まれているかのように思われていたようです。実際は炭素からなる物質です。ただの炭です。

鉛筆を考察する

私が専門学校で教えているのは「ITビジネス」です。文章を書くにも絵を描くにも全てキーボードとマウスを使います。今の学生にとっては鉛筆はもう過去の遺物です。授業に鉛筆の存在感はあろうはずがないのです。

先日自分の事務所で電話を受けたときに、なぜか鉛筆があったので使いました。たまたたスタッフが持っていたのがペンケースにさしてあったのです。

そのとき私は過去の記憶がよみがえって、なんとも言えない道具の味わいを感じました。

鉛筆が六角形なのはなぜか知っていますか?

鉛筆を持つときに親指、人差指、中指で挟み込みますが、このときに鉛筆との接点は3点。角が三本の指に接触した方が圧倒的に描きやすく安定します。そのために倍数の六角形にになっています。

あなどれないです。シャープペンシルが持ちにくいのは角が無く木のように手触りがないからです。

デッサンを描くときには鉛筆を削るのはナイフでした。これは鉛筆の硬さによって芯の出し具合が違ったからです。ちなみに10Hから10B種類がありましたが、6Bから3Hの間しか私は使わなかったです。もっとも消化した鉛筆はHBでした。大工職人が鑿やノコギリを用途に合わせて何種類も使い分けるあの楽しさが鉛筆にはあります。

そして、鉛筆を削ると、木屑や芯のカスがでます。

掃除をしなければなりません。

終わったら掃除です。この面倒な動作はPCにはありません。

作業工程は初めから終わりまで、手順を追うところに意味があります。その意味で鉛筆を使う作業はプロセスを確認することができますね。

そしてそして、鉛筆には匂いがあります。木や芯の匂いは誰でも知っていることでしょう?

これって大事ですね。そして手も汚れます。鉛筆で描いた紙をこすると手が汚れ、白いシャツについたりします。

それはそれでいいのですが、汚れないために自然と気を使いますよね?

これが鉛筆の良さでもあると考えます。

ここ面白い!三菱鉛筆のコンテンツ→https://www.mpuni.co.jp/museum/

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